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解雇規制緩和は雇用者にとって良い環境を作ることになる

解雇規制緩和がちょっとした話題になっていて、それに関する議論がネットでは少しだけ活発になっている。それを見ていて思うのが「解雇規制緩和に反対!」と叫んでいる人の声に自分はあまり納得感がないということ。

それを通して僕は解雇規制緩和に賛成側のスタンスに自分が居るということに気づき、あれこれ考えてみたことを自分なりにまとめてみた。

まあ、一般人で底辺、サラリーマンでもなんでもない僕の意見なんて戯言以下かもしれないけど、そんな僕的な結論を先に言えば、解雇規制緩和はセーフティーネットを装備することが条件でアリだと思う。

解雇規制緩和の議論に思う事

日本は利上げしやすい労働環境を作りたい

解雇規制を緩和しようという話は数年前からずっと議論されているテーマで、その根本的な理由が、解雇規制が日本の競争力低下を招いているよねって論。

簡単に言えば、生産性が低い会社であっても生き残ることができてしまっている現状を変えたいってことだと思う。

もっと言えば、会社の生産性を上げないと、日銀が利上げをしにくいってのもあるんだと思う。

利上げができなければいつまでたっても経済が正常化したとは言えない。利上げをするには、利上げに耐えられる生産性を会社が有してなければいけない、利上げに耐えられる生産性を持つには生産性を上げやすい環境を作るべきだろう、みたいな。

こういう流れがあると思うし、その流れは必然だし、僕個人は賛成です。

今のままで進むリスク

で、なぜ解雇規制を緩和することで生産性が上がるのかというと、生産性が低い社員を削ることになるからです。簡単に言えば利益率が低い社員を削ることになるので、会社の利益が増えます。

逆に言えば、今のルールでは、生産性が低い社員であっても簡単に解雇できないので、会社側は社員の雇用に慎重にならざるを得ないという背景があります。

これは次のような間違った方向に進む可能性が高まります。

社員を雇わずテクノロジーで解決する

一つは、人間に頼らない労働環境の構築が加速するということです。

今はAIやロボットが日進月歩で成長しており、特にAIの進歩は目覚ましいものがあります。そのAIの発展によって、人間の代わりの労働力となる未来が近づいてきています。

解雇しにくい人間を雇うより、維持コストも生産性も再現性もずば抜けているAIやロボットを導入するほうが賢明となるので、結局、人間の労働市場が急速にしぼむことが予想されます。

非正規が増えて結局格差は広がる

格差が広がることを懸念して反対意見を出す人がいますが、結局は格差は広がると思うんです。

社員を雇えば簡単にやめさせられない、でも、労働力が必要だとなった時に頼るのは派遣やパートの非正規雇用です。その人たちの労働力を頼りにすることになりますし、それでなんとか成立したりもします。

極論を言えば、会社が存続できるであろう最低限の社員を確保できていればそれで良いのです。(少子化が直撃して人員確保に苦労してはいますが…)

解雇規制を緩和しようがしなかろうが、非正規雇用という雇用形態がある今のままでは格差は広がります。格差を広げないため、もしくは格差をなくすために解雇規制緩和を許さないというのは、論としてはちょっと弱いな…と僕は感じています。

解雇規制緩和そのものに思う事

解雇要件の緩和であって不当解雇の後押しではない

ネットでの議論を見ている限り、解雇規制を不当解雇の後押しだと思っている人が多いように思います。

そんなことをしたらセクハラやパワハラした人が、バレそうだから首にするってケースが増えるのでは!?みたいな。

いやいや、解雇規制が日本よりも緩いアメリカを見てみなよ。パワハラ、セクハラ事案の訴訟に上司側は怯えてますけど?と思っちゃうんですよね…。

解雇規制を緩めるってのは、簡単に言えば、会社側が求める基準に満たない場合の解雇をしやすくするということであって、何も不当解雇を後押しするためという話ではないし、解雇規制緩和は不当解雇増加に繋がるってのはストローマン論法ってやつじゃないかな?と思うわけです。

後で書きますが、解雇規制が緩いほうが、次の働き口を見つけやすい分、むしろ自分を守る事にもなってきます。

不公平なのは現状

残る社員の生産性を上げるために解雇規制を緩くするという視点で考えると、つまり、ちゃんと仕事をしている人はどんどん給料が増える環境を作るということでもあります。

もし、首になった人は給料がゼロなのに、残った人が給料が増えるなんておかしい!ってことならそれって無茶苦茶だと思うんです。

首にしたいぐらいに生産性が低い社員と生産性が高い人と給料がさほど変わらないとなると、生産性が高い人は能力に見合った収入を得られずに、不公平を受け容れているとも言えます。

むしろその不公平が蔓延っているのが今の日本で、むしろ不当なのは現状じゃないの?と思ったりもします。

競争がなければ成長しない

競争がない所で進歩も成長もないと僕は思っています。

日本は競争をして順位をつけるのはよくない!みたいな不思議な価値観を大切にしている感がありますが、でも、成長したり進歩しているところには必ず競争が土台にあります。

例えば、Jリーグ。J1、J2…とピラミッド型でリーグのランクがあり、現状のリーグで下位に位置するチームは降格したりします。それを避けるために、1試合1試合を死に物狂いで戦うし、その戦いのメンバーに選ばれるために日々練習をしています。

その日々があるからこそ成長するわけです。

足切りがない環境でそのような競争が発生するのか?という点で、僕はそれは無理だろうな…と思っています。足きりがないなら、もしくは、上位にご褒美がないなら、日々を頑張る理由が限られてきます。

どんな結果であっても解雇されることがないのなら、最低レベル付近で力を抜いて過ごしていても良いとなります。果たしてそれが会社のため、業界のため、国のためになるのか?となると、ならないはずです。

解雇規制緩和に反対する人は、こういう競争環境をどう構築するつもりなのかを聞きたいぐらいで、むしろ競争は敵で、すべての人が同じ成果を得るべきという発想に基づいているのでは?と勘ぐってしまいます。

競争の敗者は悪ではない

とはいえ、競争が発生する環境を作るなら、その敗者にはちゃんとケアをすべきだとも思います。

どれだけ真面目に懸命に日々を打ち込んでも、適性が及ばずに結果が出ないこともあります。仕事や職場との相性で結果がでないかもしれません。要するに、勝負には一定程度の運の要素があるわけです。

だから敗者は悪人ではありません。敗者だからと言って過度な仕打ちを受ける必要はないはずです。

そこで大切なのがセーフティーネットで、例えば、ベーシックインカムのようなものを提供することが大切なのでは?とも思います。

仮に、毎月数万円でもベーシックインカムが提供されているのなら、解雇という憂き目に遭ったとしても生活が行き詰るなんてことはないはずです。再起に向けての時間を支える程度の糧にはなるはずです。

そういう社会的な支援環境を構築することがないなら、解雇規制はいたずらに困窮者を増やすだけなので主旨には賛成しても、導入は危険だとは思います。

企業側にとって厳しい環境になるのが解雇規制緩和

企業側が一方的に有利で、企業側が労働者を選別してしまうという危機を感じる人が少なからずネットに居ますが、これはハッキリいって視野が狭いと思っています。

解雇規制緩和が一部の会社、特定の会社だけに適用されるのなら、そういう選別が起きるかもしれません。しかし、解雇規制緩和が日本全体で適用されるとなると、企業はむしろ、より一層選ばれる側になるわけです。簡単に言えば倒産リスクが高まるはずです。

生産性が低いままだと社員へ支払う給料は増えません。だから生産性を上げようとして解雇をすると、やりすぎると利益額そのものが落ちます。一時的に利益額が増えても、それを給料の原資にして優秀な社員を抱え込みつつ、なおかつ、会社を成長させて…となると、目先の利益確保だけでは企業運営は厳しくなります。

それに、生産性を上げて利益額を伸ばすことができなければ、それを実現している同業他社に優秀な社員が引き抜かれるリスクもあるわけです。

利益額を確保し、なんなら前年よりアップさせつつ、なおかつ毎年生産性を上げ、優秀な社員を確保し続け…となると、社員をホイホイと切ってばかりはいられなくなります。

少々出来が悪い程度の社員なら、切るよりも教育して成長させるほうが賢明という判断になるはずです。教育しようとしても非協力的、生産性も悪いという社員が居れば、その時こそ解雇とすればいいわけです。

 

つまり、生産性を高めて利益額を増やす競争が発生した時点で、企業側は社員をそう簡単に切れなくなると僕は思っています。自社で経験を積み、ある程度知識がある社員を他社にガンガン引き抜かれたら、弱小な会社は持ちこたえられません。

 

だから、パワハラやセクハラがバレそうだから首にするという不当解雇が横行すると、その会社は持ちこたえられなくなります。経験や知識を持つ社員が抜けることで生産性が下がり、利益が減り、成長を鈍化させると会社の存続に響いてくるためです。

加えて、雇用の流動性が高まっているということは同業他社が人材を欲している可能性が高いということです。パワハラやセクハラを受けたから他社に転職します!なんてことが起きれば会社は大ダメージです。

逆に言えば、今の日本のような解雇させないルールでガチガチの環境のほうが、パワハラやセクハラが黙認される環境にあるのではないでしょうか?

つまり・・

冒頭に書いたように、僕は解雇規制緩和に賛成です。ただ、解雇される人は原則として悪人ではないので、それによって人生が激変してしまうのはあまりにも酷です。だから、解雇時のセーフティーネットをより充実させることが条件として、賛成です。

 

繰り返しになりますが、解雇しやすい環境を作ることは労働者にとって不幸なことではありません。

不利だなんだと言っている人は、不当解雇がしやすくなるという間違った解釈をしている人か、人とお金の動きがどう変わるのかをあまり多面的に見ていない人なんじゃないかな?と思います。(いわゆるポジショントークです)

解雇しやすくなる環境が整うと、生産性を高めて利益額を高めやすい環境となるので企業側の競争がより激化します。その中での淘汰が一層進みます。企業経営者にとっては激しい競争に晒されることになりますので、競争を勝ち抜くために、優秀な人材を確保しつつ、常に生産性を高める努力が求められます。

生産性を高めるためには人員確保は常に優先課題となりますから、誰かを雇用したいというニーズが消えることはありません。少しでも可能性があると感じる人材がいれば確保し、試し、育てようとするはずです。つまり、働き手の募集は今より盛んになるはずです。

今に日本は解雇が簡単にできないから、正社員として簡単に雇えない。そして、良い会社ほど正社員が辞めないので良い会社ほど正社員の空き枠が出ない。だから非正規が増えたり、正社員の募集は正社員がすぐにやめるヤバい会社の求人が多いのだと思います。

 

そういったことから、条件付ではありますが、解雇規制を緩和するほうがすべての労働者に恩恵があると僕は思います。