読書時間を確保できる人と読書時間を確保できない人の違い

勉強

「本を読みたいが、時間を確保できない…」

そう思って日々が過ぎていく。分かっている。時間を確保できないなんてのは甘えであり、自分次第でしかないってことは。でも、事実としてなぜか時間がないと感じることが多い。

でも、時間を確保して本を読んでいる人がいる。この違いはなんだろう…?ってことで、読書時間を確保できる人とできない人の違いについて調べてみることにした。

読書時間を確保できる人と確保できない人の違い

項目 読書時間を確保できる人 読書時間を確保できない人
時間の使い方 スケジュールを意識的に管理し、読書の時間を作る 計画を立てず、他の活動に流されやすい
優先順位 読書を重要な活動として優先順位を高く設定している 読書の優先順位が低く、他の活動を優先してしまう
隙間時間の活用 通勤時間や待ち時間などを読書に充てる スマホやSNSに時間を費やしがち
習慣化 毎日決まった時間に読書をする習慣がある 読書が不定期で気分任せ
環境づくり 読書に集中できるスペースを整えている 雑音や誘惑が多い環境で過ごしている
ツールの活用 電子書籍やオーディオブックなどを活用して柔軟に読書 紙の本にこだわりすぎて読書機会を逃している
目標設定 月○冊などの具体的な目標を立てている 目標がなく、気が向いたときだけ読む
モチベーション 興味のあるジャンルや著者の本を選び、楽しんで読んでいる 義務感で読もうとして、途中で挫折する
デジタル依存 スマホの使用時間を制限し、読書時間を確保している 長時間SNSや動画に時間を使ってしまう
自己投資意識 読書を自己成長やリラックスのための大切な行為と認識 読書を娯楽や時間の無駄と感じてしまう

参考資料

統計

項目 統計データ 出典
1日の平均読書時間 全体の平均読書時間は1日13分。読書をしている人に限ると平均1時間9分。
月間の読書冊数 1カ月に1冊も本を読まない人の割合は62.6%。
読書量が減った理由 「携帯電話、スマートフォンなどで時間が取られる」が43.6%でトップ。次いで「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」(38.9%)。
電子書籍の利用状況 電子書籍を「よく利用する」15.0%、「たまに利用する」25.3%で、合わせて40.3%が利用。
子どもの平日の読書時間(0分) 小学1年生から高校3年生の全体で49.0%が平日に読書をしない(「0分」)。男子は53.1%、女子は45.1%。
児童生徒の不読者割合 小学生8.5%、中学生23.4%、高校生48.3%。

論文

論文タイトル 概要 出典
読書習慣の形成過程に関する実証的研究 新潟市の児童を約10年間追跡調査し、幼少期の読み聞かせや小学校時代の読書経験が、その後の読書習慣の形成に重要であることを示した研究。 J-STAGE
第8章 読書による学習・心理的効果に関する実証研究 日本の小学生を対象に、読書量が学習成績や心理的側面に与える影響を調査し、読書量が多い児童は国語の成績や集中力が高い傾向が確認された研究。 Tsukiyama-semi
子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響 子どもの頃の読書経験が、成人後の意識や行動にどのような影響を与えるかを分析し、読書経験が豊富な人ほど、成人後の意識や意欲が高い傾向を示した研究。 J-STAGE
「読書習慣の形成過程に関する実証的研究」
読書時間を確保できる人と確保できない人の違い
  1. 読書習慣の連続性
    • 読書習慣は、幼少期に親や環境からの刺激によって形成され、その後の発達段階(小学期→中学期→高校期→新社会人)でも維持される傾向がある。
    • 多読型(読書時間を確保できる人)は、特定の要因(動機や本の入手経路)に支えられ、習慣として継続する。
  2. 影響要因の違い
    • 読書時間を確保できる人
      • 小学期では「本の入手経路」(親や学校図書館)が大きな役割を果たす。
      • 中学期では「読書の動機」(友人からの勧めや著者の好み)が強い影響を与える。
      • 高校期では「自分で本を購入すること」や「学校図書館」が読書習慣を支える。
      • 新社会人では、「自己実現」や「余暇の充実」を目的とした読書が多くなる。
    • 読書時間を確保できない人
      • 習慣化されていないため、読書量は一時的または少量にとどまりやすい。
      • 高校期・新社会人になると、読書の動機や本の入手経路が確立されていないため、習慣が途切れる。
      • 課題解決手段として「活字媒体」を利用せず、「家族や友人に相談する」傾向が強い。
  3. 親の影響と願望
    • 親の教育的な読書観(学校の勉強に関係する本を読ませるべきなど)は、直接的には読書時間に影響しない。
    • しかし、親の「子どもに達成してほしい」という願望が強い場合、間接的に読書習慣の形成につながることがある。
  4. 読書観の違い
    • 読書時間を確保できる人(多読型)
      • 「自己実現」や「余暇の充実」を重視し、読書時間を前向きに捉えて確保する傾向がある。
      • 活字資料を活用し、自己学習や問題解決に積極的である。
    • 読書時間を確保できない人(少読型)
      • 読書観が「実用」や「趣味」に偏りやすく、必要なときにのみ読書を行う。
      • 問題解決では、読書よりも周囲の人間関係に依存する傾向が見られる。

読書時間を確保できるかどうかは、幼少期の刺激や発達段階ごとの要因(動機・入手経路)に強く依存します。特に、多読型の人は自己成長や余暇を意識しながら能動的に読書時間を確保し、一方で少読型の人は習慣化が弱く、他の手段に頼る傾向が見られます。

読書習慣の形成過程に関する実証的研究
J-STAGE

杉山良也.「読書習慣の形成過程に関する実証的研究:一新潟市児童の追跡調査から一」『図書館学会年報』33巻1号(1987年):10-15頁。https://doi.org/10.20651/ajsls.33.1_10。

「第8章 読書による学習・心理的効果に関する実証研究」

読書時間を確保できる人と確保できない人の違いについて「個人的要因」「家庭環境要因」「個人環境要因」の3つの側面から分析している。

  1. 個人的要因
    • 読書時間を確保できる子供は、集中力が高い傾向があると示されている。これは、読書が言語理解や思考力向上に寄与することで、他の活動にも持続的な注意力が向けられるためである​
    • 一方で、興味関心の強い分野を持つ児童ほど、その分野に関する読書量が増加する傾向がある。逆に関心のない分野では読書時間の確保が難しい​
  2. 家庭環境要因
    • 親の学歴や新聞購読の有無が、子供の読書量に影響する要因として挙げられている。具体的には、親が高学歴である場合や家庭に新聞がある場合、子供の読書時間が長くなる傾向が確認された​
    • また、親と日常的に話す頻度や親からの大学進学期待も、読書時間を確保できる要因として挙げられている。
  3. 個人環境要因
    • 習い事の有無学習塾への通塾が、子供の時間配分に大きく関わる。習い事が多い子供や学習塾に通う子供は、自由時間が限られるため読書時間を確保することが難しくなる​
    • テレビ視聴時間が長い児童は、相対的に読書時間が短くなる傾向も示されている。
具体的な差異のポイント
  • 読書時間を確保できる児童は、家庭環境や親のサポートが整っている場合が多い。
  • 読書量を増やすためには、親の意識や環境整備が重要であり、学習塾や習い事による時間制約が読書時間を圧迫する可能性が高い。
  • 関心分野が明確であることが、読書時間の確保にプラスに働く。

読書時間を確保できるかどうかは、子供自身の関心や集中力だけでなく、家庭環境や時間の使い方が大きく影響する。教育現場や家庭において、子供が読書時間を確保できる環境づくりが求められている。

https://media.tsukiyama-semi.com/2021/2021_mt_nakazawa.pdf

中澤康紀.「読書による学習・心理的効果に関する実証研究―日本の小学生に対するアンケート調査の分析から―」2021年.

「子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響」

本研究は、子どもの頃の読書が成人期の意識・意欲・行動に与える影響を明らかにすることを目的としています。特に、子ども時代の読書活動が成人の意識・行動、および個人年収にどの程度影響を及ぼすかを調査し、世代間でその影響の違いを比較しています。調査対象は日本全国の成人5,258人で、主にWebアンケートを用いてデータ収集を行いました。

読書時間を確保できる人とできない人の違いに関連する要約
  1. 子どもの頃の読書の充実
    • 読書量・ジャンルの多様性が成人の心理的充実に大きな影響を与えることが示されました。
    • 読書時間が確保されていた子どもは、成人しても「自己肯定感」「市民的教養」「向上心」が高い傾向がある。
  2. 成人現在の読書充実との関連性
    • 読書時間を確保している人は「成人現在の読書充実」(本を読む習慣や多様性)が高い。
    • 読書時間を確保できない人は、主に 働き始めた直後の世代(20-30代) に多く、個人年収への影響も少ない。
    • 一方、40-50代(就労年長世代)では、読書時間の確保が個人の成長や年収に対してもプラスの影響を持つ。
  3. 読書時間を確保できる要因
    • 幼少期に親や周囲から読み聞かせを受けた経験や、複数ジャンルの本に触れる環境が影響。
    • 子どもの頃の「楽しさ」を感じる読書体験が、大人になっても読書習慣を支えている。
具体的まとめ
  1. 影響の強さの比較
    • 子どもの頃の読書経験は、成人期の意識・意欲・行動に対する影響力が個人年収よりも大きいことが示されました。
    • 特に、読書量とジャンルの多様性が心理的充実を高める重要な要因です。
  2. 世代間の違い
    • 就労年長世代(40-50代)では、子どもの頃の読書充実が「年収」にも影響を与えます。
    • 就労年少世代(20-30代)では、年収には影響しないが、読書充実度がその後の意識や行動に強く関与。
  3. 読書時間確保の課題
    • 働き始めの世代(20代)は忙しさや目的意識の違いから読書の優先順位が低下。
    • 40代以降は仕事や家庭生活が安定し、読書時間を確保しやすくなる傾向にあります。

子どもの頃の読書体験(量とジャンルの多様性)は、成人の意識・意欲・行動に長期的な影響を与え、経済的な成功以上に心理的充実を支える重要な要素である。さらに、世代間の違いも認識され、読書習慣の促進には幼少期からの周囲の働きかけが鍵となることが示唆されました。

子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響
J-STAGE

濵田秀行、秋田喜代美、藤森裕治、八木雄一郎.「子どもの頃の読書が成人の意識・意欲・行動に与える影響:世代間差に注目して」『読書科学』58巻1号(2016年):29-39頁。https://doi.org/10.19011/sor.58.1_29。

読書時間を確保できる人と確保できない人の違いに思う事

読書を無目的にできることが大切

自分なりの解釈ではあるけど「読書をするぞ!」と意気込む人は、読書習慣が身についていないと言えるらしい。

食事をする、睡眠をとる…こういった生理的な活動と近いレベルで読書を行える人が読書が習慣化されている人なのだと言えるらしい。そういう意味では、今の自分は全く読書が習慣化していない。

目的在りきで読書をしようとしている。

育った環境がやはり大切

読書が習慣化するのかどうかは育った環境と大きく関連していることが分かる。

小さなころから活字が身近にあると読書が当たり前になる。しかも、そのころに習慣づいていると、20代、30代で差が出なくても、40代を超えたあたりで年収に差が出始めるらしい。

これは恐ろしい…

どうしていく

今の自分は読書を無意識に習慣化すると言うレベルには到達していない。そして、今から幼少期に戻ってやり直すこともできないので、意識的に強引に読書を習慣化するしかないと思っている。

そこで1つの方法として、本を読むまでのハードルを下げるという環境整備を進めることが大切なのでは?と感じている。

今は本を読むまでの道のりが遠い。アプリを開いて本を選んで…とすればいいだけとは言え、それだけでも2手間かかっている。そうじゃなくて、読みたい本をあちこちに部屋のあちこちに置いといて、いつでもどこでも続きから読めるようにしておくことが大切なのではないだろうか?

なんてことを思っている。そうすることで、本が身近な環境を作り、習慣化に繋がるのではなかろうか?

そう思っている。やってみよう。

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