年老いた母が森永ミルクキャラメルが美味しいとよく言うようになった。
何がキッカケなのか、なぜそんな事を言い始めたのかよくわからないけど、美味しいというのならってことで帰省のたびに買っている。キャラメルなら他にもあるのにな…と思っていた。
そんな母がミルクキャラメルを好きな理由が、少しだけ分かった。
ミルクキャラメルと母
母がなぜかドはまりし始めた
ここ1年ぐらいずっと、「ミルクキャラメル美味しいな」と母が言う。そのミルクキャラメルはいわゆる定番のあれ。森永ミルクキャラメルってやつ。
ミルクキャラメル、確かに美味しいけど、母がそんな事を言うのは珍しい。何かにハマっているというのも、初めて見たかもしれない。
なんでだろう?
体調や健康に悪い影響がでるわけでもないし、好きなものを好きなだけ食べるぐらいの事ならどんどんやってほしいので、まあいっか。そう思っていた。
おじいちゃんとの思い出
先日、母がふとこんな事を言った。
「お父さん(自分から見ればおじいちゃん)が出張に行ったときのお土産はいつもこのミルクキャラメルやってん。一箱だけ買ってきて、それを5人姉妹で1人2粒ずつで分け合って食べるねん。それがうれしかったんよ」
その時は「そーなんや」とだけ答えて終わったけど、妙にそれが記憶に残っていて、なんとなくモヤモヤする。
母は5人姉妹の次女だけど、一番の上の長女に当たる叔母はもう他界している。今は4人が健在。だけど、いい関係性なのか?といわれると不思議な距離感。いつも喧嘩していて、味方だ敵だとばかり言っている。
でも、そんな母の姉妹や父親との記憶がそのミルクキャラメルの一粒の中には存在していて、そのころを懐かしみたくて味わっているのかもしれない。
美味しさとなつかしさの中にあるうれしさ、そのどちらも味わえる。 だから、この1年、ミルクキャラメルを味わっているのだとようやくわかった気がする。
なので…
そのことについて何か言ってあげたい気もするけど、でも、思い出と一緒にキャラメルを味わう楽しみの邪魔にはなりたくない気持ちもある。何かを話したくなれば聞くが、そうじゃないならそれはそれでいい。
だから、とりあえず何も知らない、何も勘づいてもない、興味もない顔をして、相変わらず森永ミルクキャラメルを買って帰ろうと思う。